2024/07/08 19:55
3月18日から22日まで、コーヒー豆の収穫視察に出かけた。
本来はもっと時間をかけて何か月後に、と考えていたが、年1回の収穫が3月末に終わってしまうという。 慌てて農園に予約を入れた。
コーヒー農園は1500m以上の山岳地帯であるため、街からはかなり離れている。
雲南省の産地は主に4か所あるという。比較的便利な2か所を選んだ。保山市(バオサン)とプーアー市。 そこから車で何時間走って、ャンマーやラオスとの国境付近に産地集中している。
雲南省に行くには必ず省都の昆明まで飛んで、そこから乗り換えて各地に行く。 しかも毎日1便しかない。
地方どうしを結ぶ路線もない。 非常に不便である。
3月18日 13:00 深圳 → 昆明 15:30
保山行きの便が翌日のため、ホテルにチェックインして、街を視察。
老街(ラオジェ)と呼ばれるかなり大きなレストラン街に出かけて夕食。
3月19日 8:50 昆明 発
10:05 保山 着
空港まで、予約しておいたコーヒー農園のスタッフが迎えに来て市内の事務所に案内して
くれた。 社長の謝さんと面談。 新寨(シンザイ)珈琲というブランドでコーヒーを
販売している。 保山では有名人だ。 日本のネットで調べると、保山では彼と“天空農園”
の2か所しか引っかからない。
あいにく、プーアー市のコーヒー業者の会議で出かけるところで、私たちを待っていて
くれた。 農園や栽培されている珈琲の種類などのレクチャーを受けた。
ティピカ、 カティモール、 ブルボン(RED WAVE)、 S288( )
日本人は来ているか尋ねると、かなり前に協会の偉い人が来たことがあるという。 思った通りバッハの田口さんだった。
なんか、足跡をたどれたような気がしてうれしかった。
農園までは市内からミャンマーに向かう山道を1時間登る。その後のプーアーでも感じた
ことだが、どこまで行っても高速道路と新幹線が整備されている。 すごいことだと思うが、
事はそう単純ではないらしい。 人民のためではなく官僚の懐を潤すための公共事業なの
だ。 プロジェクトが進むたび、何億・何十億元というお金が官僚たちに流れていく。
結局地方財政は何十兆円の借金を抱えて返済不能に陥っている。 保山空港も同様だった。
立派な空港ができているのに、便は昆明との間の2便/日 しかない。 空港内にはたくさんの店やレストランが並んでいるが、
開いていたのは2店だけ。オーナーは、政府に騙された、と憤慨していた。
まあ、他国のことをあれこれ言うのはもうやめよう。
潞江鎮新寨村といい、ここが保山地区のコーヒーの一大産地になっている。
そこに予約しておいた、謝さんの農園とホテルがある。 ところが着いてみると、従業員が
2人いるだけで、コーヒーの加工工場らしきものがない。完全に騙された。
栽培している珈琲畑は山の上にあるが、社長がいなくて行けない。 摘み取りは終わった。
加工場は休み--------。 本来、摘み取りからコーヒー豆ができるまでの講習を受けるべく
予約もしていたし、謝さんの、“3月末で終了する”という言葉で慌ててやってきたのに、だ。 社長がいなくてクレームもできない。
そこは一応、珈琲博物館と称していて、昔からの器具や珈琲の栽培・摘み取りから加工まで
のパネルが展示してあって、女性が説明してくれた。 まだ、製品の展示場でいろいろな
種類のコーヒーを試飲させてくれた。 結論、観光客相手の観光農園だった。
おそらく、ほかの工場で生産させて、自分の知名度とブランド力で販売しているのだろう。
なかなか味なメーミングをしている。
毎日YOUTUBEで、プロの方々が、これは桃の味、ブドウの味、ココナツの味、云々と
評価をしているが、どれがどれとはわからないまでも確かにフルーツの香りが口に残る。
毎日訓練すればもっと明細がわかるようになるのだろうか? なってみたい!
一般的に言って、NATURALのほうがWASHEDよりも香りが強くおいしく感じられた。
ティピカとブルボンのサンプルを購入した。
加工方法のおさらい
1.WASHED 水洗い(酵母を入れて発酵) 脱皮 乾燥 脱穀
2.NATURAL
乾燥 脱皮 脱穀
3.HONEY 脱皮 発酵 乾燥 脱穀
4.湿創法 脱皮 水洗い 乾燥(水分30%) 脱穀 乾燥
5.嫌気性発酵法 密閉発酵 乾燥 密閉乾燥 乾燥 脱皮 脱穀
ここまで来て何も見ず帰ったら何の意味もない。 農園に頼んだところ、村に1台だけ
タクシー代わりの車があるという。 呼んでもらうと70過ぎのおばあさん運転手かやってきた。 コーヒーの山を見たいと依頼すると、まだ収穫をしていると言って村を案内して
くれた。 地元の人で、すべて知っている。 自分の家でも昔は栽培していたが、どんどん
大型化されて、小さな農家は廃業してしまっているとのこと。 行く先々、大小たくさんの
農園(加工所)があった。 合計で30-40軒あるとのこと。
珈琲山ではまだ穫り入れが行われていた。 3月末ごろで終わるというのは本当のようだ。
枝に、鈴なりにたわわに実っている。
この後、知り合いの農園に連絡を入れ、許可をもらって訪問した。
そこは本当の農園だった(笑
社長の楊さんと奥さんが出迎えてくれた。
10人ほどの社員が脱皮と乾燥の作業をしており、チェリーを満載にしたトラックがどんどん入ってきていた。
脱皮されると、皮と珈琲豆に分別されて落ちてくる。、そのあと、天日で乾燥される。
学習してきた加工法によると、WASHED というよりは HONEYに近いやり方なのではないだろうか?
ここでは、嫌気発酵法(ダブルファーメンテーション)も実施されていた。
言葉の壁がありよく聞き取れなかったが、密封して3日3晩、その後天日で乾燥してまた3日間密封することにより、
発酵が進んで香りがより強くなるとのこと。
このコーヒーを試飲させてもらったが、これまでで最も香りがあっておいしかった。
お願いしてサンプルを1㎏買った。 これからも取引してもらえそうだ。
ちなみに、謝さんの農園でも、ここでも、ドリッパーはハリオのV60を使っていた。
やはり、これが一番スタンダードなのだろうか。
3月20日
保山ではもう2か所訪問を予定していた。
1か所は田口さんが訪れたという瑞麗市の江東農園。 私たちの所からあとわずか100㎞。
ミャンマーとの国境のすぐ近くにある。 ところが、ミャンマーで内戦が起きているために現在外国人の立ち入りが禁止
されていると。運転手のおばあさんがお客を乗せていって1晩拘束されたと言って、拒否されてしまった。
どうしても田口さんが協力して生産したという“翡翠”という豆を持って帰りたかったのだが、残念だった。
村から保山市に帰る途中の高速道路にも厳重な検問が敷かれ、パスポートと訪問目的を尋ねられた。
もう1か所は、ネットで日本のコーヒー業者が盛んに宣伝している天空農園であるが、確かに住所は同村になっているのに、
地元のおばあさんも、2か所の農園で聞いても誰も知らないという。
また、農園主として載っている曾さんという人も村にはいないという。
どこの会社の創作かはわからないが、誰も行かない、行けないことをいいことにして架空の農園を作り上げ、
宣伝・販売しているとしか考えられない。
ただ、この記事のおかげで、ダブルファーメンテーション製法(嫌気発酵法)について知識を得れたため、
サンプルまで入手することができたのはありがたかったが。
私にも、雲南田中珈琲農園が創造できそうだ。 作業着を着て畑で撮影し、20年前に現地に入り込んで、
一筋にコーヒー豆の改良に努力してきた伝説の人------(笑。
ということで、期待していた訪問先に行けず、別の農園を訪問した。
BEACON COFFEE FIRM
珈琲博物館と聞いていったのだが、私企業の観光農園だった。
コーヒーショップに、いろいろな器具や珈琲豆の展示。
加工の方法の説明の展示、など。
ドリッパーは オリガミと 陶器のV60。 本物だろうか?
夕方、保山市に戻り、夜の便で昆明に戻った。
保山 21:05 昆明 22:00
昼ごはんに食べた地元の羊肉なべが絶品だった。